空地の側の
ゴミ捨て場に置いてある
空き缶の中に
赤黒い
手足のない
かつて子猫だった
ものが居る
全てを知るには 儚きモノだとしても
愛の全てを知った
そう思ってた
あなたに出会った
全て変わった
その愛の温もりが
『愛』の全て
それでいいと 思える
帯と畳
ざっくりすりきれた帯に
きつく結いあげた黒髪
礼する額に畳の青さ
切れ切れの息と
もうたたない膝は
やめてくれと叫ぶ。
それでもきっと明日
自分はそこにいるのだろう。
強さというものに
底なしの恐怖を覚えながら
弱さの罪と辛みがゆえに
望郷
私たちはカーテンコールで区切られる
一番最初に手にした自分
時計の針が少しずつ削るけど
無くなることはないと信じていた
ここは昔とは違う場所
ふと気がついてあたりを見回す
位置は昔と変わらないみたい
けれども、やっぱり違う場所
知らない人がたくさんいる
囚われ
俺はもういつからか
囚われの身
逃げ出せない渦の中
もがいてもがいてもがいても
何も変わらない
いやむしろ事態は悪化していく
何もできない
このまま死ぬのか
ならばなぜ生まれた
ならばなぜ生きてきた
今まで生きてきた記憶が後悔が重い重い重い
幻
幼い頃に描いた
淡いパステル色の世界は。
そんなものどうせないさ、
逃げようのない恐怖と
見たことすらない幸福を。
そんなものどうせ嘘さ、
あれから何度も廻って
それでもちっぽけな僕は。
そんなものどうせ夢さ、
僕がすべてであるようにと
54
電話の声は
まったく京都のひとにもどっていて
静かで柔らかい。
一昨日までは、とげとげした東人のひとりに
なりすましていたのにね。
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合わせ鏡の声
早すぎた朝の鏡。
さくらいろの唇は
沈黙をはらみ、
半開きのため息は
すべらせた指先を
すこしだけ曇らせる。
幾つもの夜に失った声を、
幾つもの朝に殺した言葉を、
寝静まった朝に、解き放って。
どんなに奪われていても、
あなたのことばを
桜月花
満月の夜に
私たちは使命を実行する
静かな夜に二つの影
ノラ猫のように音もたてず
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嘘のミルフィーユ
ひとつ嘘をついて
ばれないようにと重ねてゆく
そうして出来たミルフィーユ
何も聞かずに召し上がれ
きっといつかは気付くでしょう
その日までは淡い夢
見せてあげるから
あまいあまぁい砂糖菓子
最後に少し隠し味
気付かなければ美味しいの
目隠しをして召し上がれ
拝啓 W.H.オーデン様
やまがあるんです
霞がかった しろっぽい うすむらさきいろの
ぼんやりとしたペールの向こうかわに
やまがあるんです
子供のころいっしょに暮らしたおじいちゃんと
おばあちゃんが
陽だまりにつつまれて おだやかに 無言ですわっているんです
- pickledplumのノート |
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魂の音色
お琴はもう何年も弾いてるんです
沢井先生の「賛歌」に共鳴して
一生懸命練習して
上手になったって みんなにほめてもらうんですけど
お琴では
表現できないんです なんでなんだろう
バイオリンならわかってくれるような気がして
この夏 町のずっと代々バイオリンを作ってる人の
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