母は七十の齢(よわい)を過ぎても、お中元は手作りの『奈良漬』です。
僕が贈るお中元まで、母の『奈良漬』です。
母は『奈良漬』のために六月から瓜を捜して、塩にもこだわります。
父が亡くなって二年経ちました。
僕は母に言いました。
「この家(うち)は段差が多くて、冬はとても寒くて年寄り向きじゃないな。この家から僕の家に来たらどう?親父の建てた家に、こだわらなくてもいいんじゃないの?」
『そんなこと言っても、ながと!お父さんが建てた家(いえ)を守りたいんよ!お父さんとの思い出を大切にしたいんよ!』
お母さん 六月になりました。
そろそろ『奈良漬』の瓜を捜しに行きますか?
お母さん 七月になったら、今年も僕が贈るお中元もお願いします。
お母さん 今年は僕も『奈良漬』作りを手伝いますよ。
母が父への気持ちを、酒かすに込めるように。
僕も母への気持ちを、酒かすに込めさせて頂きます。
「お母さん 本当にありがとう」
「お母さんいつまでも元気で一生懸命にね」








